ワクワクメールのような出会い系というのは、表向きには、その肉体と精神がピッタリと一致しており、自分のことを「男性だ/女性だ」と即座に迷いもなく断言するようにして宣言でき、また、「自分の性」とは違う「性」であるところの「異性」のみを「恋愛」や「性愛」の対象として認識するヘテロセクシャルの人たち、多数派の「恋愛」や「性行為」のために作られた「出会いの場」、「ヘテロセクシャル向きのサービス」であると言うことができます。
もちろん、ワクワクメールのアダルト掲示板のカテゴリのなかには「男同士」というものがあり、このカテゴリは、「ゲイ専用のマッチングアプリ」にサクラや業者などが多いという事情も相まって、サクラや業者などを極力排除する方向で運営が動いているワクワクメールのような大手の優良出会い系においては、「同性愛のパートナーを探すユーザー」にも「知る人ぞ知る出会いの穴場」として重宝されてはいます。
ワクワクメールのトップページから見えてくるもの
とはいえ、やはり、ワクワクメールのトップページなどを見ましても、メインのイメージとして採用されているのは「ヘテロセクシャルの男女の恋愛」であることは明らかです。
たとえば、トップページの「男性(18歳以上)」「女性(18歳以上)」というそれぞれの入場ボタンの上に掲載されている文章は「男女共に登録は無料♪前払い式のポイント制だから月額課金よりも気軽にご利用いただけます!女性は男性とのやりとりは完全無料でご利用いただけます♪」となっています。
続いて、「ワクワクメールの使い方」を「三つのステップ」で説明しているセクションを見てみますと、「二段階目」の「気になるお相手とやりとりをする」の箇所の画像は、「“女性のアイコン”と“男性のアイコン”がメッセージのやりとりをしている様子」がイメージとして採用されています。
ちなみに「三段階目」の「カップル誕生」の画像は「ターコイズブルーのマニキュアを塗った手と、マニキュアが塗られていない手が、お互いの指を絡ませ合わせるようにして繋がれている」というイメージなのですが、「マニキュアが塗られていない手」を男性と特定することができない以上、これは「男女の手」ともいえますし「女性同士/男性同士の手」とも言える画像です。
さらにトップページをスクロールさせていきますと「出会い体験談」というセクションに到達することになるのですが、ここで「ほんの一部ですが」ということわりとともに紹介されている三つの「出会い体験談」は、それぞれ「40代前半女性による、同棲から“入籍”にいたった体験談」、「40代前半男性による“籍を入れる予定”という記述がある体験談」、そして、「20代後半女性による“年下の男の子”との体験談」というものになっており、そのすべてがヘテロセクシャルによる報告です。
その真下のセクションには「出会いや恋愛に関する様々な記事を更新しています。ワクワクメールでよい出会いを見つけるための秘訣」であるとされる「ワクワクコラム」という別ページへのリンクが貼ってあるのですが、こちらをクリックしますと、「ヘテロの男性とヘテロの女性にのみ向けたコラム」が大量に公開されているのが確認できます。
ワクワクメールはヘテロセクシャルの男女の楽園である
このように、トップページをざっと眺め回しただけでも、ワクワクメールというものが、基本的には「ヘテロセクシャルの男女同士」が利用することを念頭に置いて運営されている出会い系であるということが一目瞭然のこととしてよくわかります。そして、「出会い系」というものは、私はそういうものであって構わないと思っています。
私は何も、こういった事実を暴き立てることによって、LGBTの見地から「これはまったくありえないことだ。ヘテロセクシャルによるマイノリティ差別だ」などと騒ぎ立てて問題視しようなどと考えているわけではありません。
ただ、そのあまりにも無防備にさらけだされた「ヘテロセクシャル全開の雰囲気」のあからさまな態度に、少しばかり笑いを誘われてしまったに過ぎず、むしろ、ヘテロセクシャルのみなさまにおかれましては、この「ヘテロの楽園」とも言える出会い系という場において、大いに恋愛や性愛を楽しんで頂きたいものです、という「祈り」にも似た気持ちにさえなっているくらいなのです。
ワクワクメールに限らず、「出会い系にまつわる文章」というのは、この大多数を占めるヘテロセクシャルの「男性/女性」同士が、いかにして出会うことができるか、いかにして恋愛関係を築くことができるか、いかにしてセックスできるか、ということを巡って書かれている場合がほとんどなのですが、これは、出会い系というものが「ヘテロの楽園」である以上、当たり前のことであると言えるでしょう。
もちろん「ほとんど」と書きました通り、それは「すべて」ではありません。当然ながら、少数ではあるのですが、前述したような「男同士」のカテゴリのなかで「男性同士がいかに出会うか」について書かれた同性愛者向けの記事などを読むことも可能です。同性愛のパートナーを探されている方にとっては一読の価値があるものだと思いますので、検索をおすすめしたいところです。
出会い系にまつわるテキストは誰に向けて書かれているか
さて、「ヘテロの楽園」である「出会い系」にまつわる文章に話を戻しますと、「(ヘテロ同士の)いかにして出会うことができるか」という文章は、(ヘテロ同士の)「恋愛」と「セックス」という二つの方向へと分岐していくことになります。
その分岐先の一つである「いかにして恋愛関係を築くことができるか」という文章は、隠された最終目的として「結婚制度」を目指します。「出会い」はその嚆矢であり、その入口付近でこねくりまわされることになる「恋愛論」や「恋愛テクニック」などの記述は、すべてが「結婚制度」へ向かうための準備であるといえます。
「恋愛(結婚制度へと向かう)」という分岐先の記述は、ヘテロセクシャルの女性向けに書かれる傾向があるでしょう。
一方の「いかにしてセックスをするか」という分岐先になりますが、こちらは、むしろ「結婚制度」をいかにして回避し、恋愛関係に発展しないような無責任な性行為だけをするかという方向に向かうことになります。そして、それは、性的「指向」とは厳密に峻別しなければならない、性的「嗜好」の話になってくるでしょう。
とはいえ、「いかにしてセックスをするか」という文章のなかで語られることになる「性的嗜好」については、「ヘテロセクシャルという性的指向に特有の性的嗜好」になるので、「性的指向」と「性的嗜好」が切り離せないままに提示されることになるでしょう。
「ヘテロの楽園」にまつわる「セックス」、「ヘテロセクシャルという性的指向に特有の性的嗜好」というのは、「男性器を女性器に挿入して(あるいは、挿入以外の方法で刺激しあって)快楽を高め合う」という性的嗜好です。
「性愛(ヘテロセクシャル特有のセックスへと向かう)」という分岐先の記述は、「(ヘテロ同士の)セフレ」などを探しているヘテロセクシャルの男性向けに書かれる傾向があります。
ヘテロ男性の挿入を目的としたセックスへの情熱
「タダマン」という「金銭を支払わずに女性器に男性器を挿入すること」という意味を持つ言葉は、その象徴的な言葉であるということができるでしょう。
出会い系における「性愛」にまつわる記述においては、どういうわけか、それが性癖である以上仕方がないのか、ヘテロ同士でのみ可能な「男性器を女性器に挿入する」という最も単調な性行為以外の性行為が目指される、ということはあまりありません。
そういった「単調な挿入」を最終目的とした性行為からすると「性的倒錯」「性的逸脱」と判断されてしまうであろう性行為はほとんどの場合、記述のなかから除外されているか、はじめから想定すらされていないようにして扱われます。その「男性器の女性器への挿入」に対する意志というか、熱意には、正直驚かされます。
もちろん、これも「ほとんど」ですから「すべて」ではありません。「SMのパートナーを探す」「アダルト掲示板におけるアブノーマルのカテゴリを利用する」というような文脈において、「男性器と女性器同士の単純な挿入」からすると「性的倒錯」として扱われてしまうような性的嗜好が扱われる記事が書かれることも稀にありますから、出会い系で「挿入」以外のプレイを求めている場合は、検索してみると貴重な情報が得られるかもしれません。
ワクワクメールに代表されるような「出会い系」という場所が、その主要なターゲットを「性的指向」が「ヘテロセクシャル」である「男女」として選択している以上、その利用者が、上記したような二つの目的(制度としての「結婚」か、男性器と女性器を結合させる「セックス」)を目指すのは当然のことであるといえます。
「出会い系」にまつわる文章のほとんどが「恋愛(結婚制度を目指す)」と「性愛(男女の性器の結合)」というこれらの目的を巡って展開されるのは、「記述者が出会い系ユーザーに対して親身である」ということの揺るがぬ証拠となるでしょう。
なぜ出会い系を使うのか?という問いに対する答えの個人的な驚き
「なぜ出会い系を使うのか(私の思考は、『私はなぜ出会い系を使わないのか?』が出発点だったのですが)」ということを考えていった結果、世の中の大多数を占めるヘテロセクシャルの男女の存在にたどりつくことになりました。
個人的な話になりますが、私の場合は性的「指向」としてはレズビアンです。性的「嗜好」としては倒錯者に属するだろう性癖を持っています(その性癖の詳細は秘密です。そのかわりに、とんでもない『オナニスト』であるということは正直に白状いたしましょう)。
さらに、「動植物」をパートナーとして考えていて孤独が平気な性格でもありますから、ワクワクメールなどの「出会い系」で主要な存在であるヘテロセクシャルの男女のことはもちろん、ヘテロの男女同士の恋愛の様々な事情、ヘテロ特有の恋愛の悩み、ヘテロにのみ可能な性行為などにはまったく興味がありません。
ですから、「出会い系を利用する人の大多数は、ヘテロセクシャルの異性と、ヘテロ特有の恋愛(結婚を目指す)やセックスがしたいから出会い系を使う、という明確な答えを持っている」という、おそらくヘテロセクシャルの男女にとっては考えるまでもない当たり前の事実が導かれたときは、それが「当たり前」ではなかった私を大いに驚かすことになりました。
他人から「どういう人間が好きなのか」と聞かれるとき(そういった無粋な質問をされることは滅多にありませんが……)、私は「出会い系に登録しないような人には好感を持ちますね」と答えてしまうことがあるのですが、これは、「ヘテロセクシャルの男女があまり得意ではないですね」というのを言い換えていただけなのだということにも今更ながら気付かされることになりました。
そして、驚きながら、このように感じたのです。「ヘテロの楽園」であるところのワクワクメールには、「ヘテロ特有の恋愛がしたい男女」や「ヘテロ特有のセックスをしたい男女」がたくさん集まっていて、それぞれ「異性」のパートナーを探しているのだから、彼らの「相性」は尋常ではないレベルで「よい」だろう、と。
異性愛者はワクワクメールに登録したほうがいい
もちろん、「出会い系に登録するタイプの男女(ヘテロセクシャルの男女)」に共通する「好みのタイプ」は「出会い系に登録するタイプの男女」である、というのは、あまりにも短絡的で大雑把であるとも思います。
ただ、「ヘテロセクシャル同士の恋愛やセックス」を求めている「ヘテロセクシャルの男女」にとって、ワクワクメールのような「出会い系」という場所が最適であることは、ほとんど疑う余地がないように思われます。
ヘテロセクシャルであり、「恋愛」や「セックス」がしたい、と考えているのであれば、この「ヘテロ特有の恋愛やセックス」のために特化した場所であるワクワクメールに登録しないなどという選択は、まったく考えられないような愚行であるとさえ感じられます。
「“異性”と(結婚制度を目指す)恋愛がしたい」でも「“異性”と(男性器と女性器の結合という特殊性癖の)セックスがしたい」でもどちらでも構いません。ワクワクメールは、その極めてヘテロ的な欲望のすべてを叶えてくれる場所、「ヘテロの楽園」なのです。